わかりました。退職代行サービスの法律・退職時の法律と働く人の職業選択の自由についてですね!詳しく解説していきましょう!この部分は少し難しい部分になりますが、退職時の法律関係を知っていることで、立場の弱い労働者の権利を守れますので、学んでおいて損はないですよ!
では早速いきましょう!
この記事を読むメリット
この記事は以下の人のために書きました。
- 「退職時の法律」と「働く人の職業選択の自由」の知識を得ておきたい人
- 退職代行サービスの法律についてくわしく知りたい人
この記事を読むことで以下のメリットがあります。
- 退職時の法律知識を知ることで、ブラック企業から自分を守ることができる
- 退職代行サービスの法律を知ることで、安心して退職代行サービスを依頼できる
では早速いきましょう!
「退職代行サービスの法律・違法性(弁護士法違反)」について詳しく解説
- 会社の上司から、「退職代行サービスは違法だよ!」と言われましたが、大丈夫なのでしょうか?
退職代行サービスは違法ではありません。
しかし、退職代行サービスにもいくつか種類があり、種類ごとにできる内容に違いがあるので、場合によっては違法の可能性もあります。その点、詳しく解説しましょう!
退職代行サービスの種類は大きく次の3種類に分けられます
退職代行サービスは以下の3種類に分けられます
- 株式会社などの「一般企業」が行う退職代行サービス
- 「弁護士」が行う退職代行サービス
- 「労働組合法人」が行う退職代行サービス
それぞれの退職代行サービスの特徴について簡単に説明します。
「一般企業」の退職代行サービスの特徴
まずは、一般企業の退職代行サービスの特徴についてです。
- できることは「会社に退職を伝える」ということです
- 代理交渉などの「代理行為」は「非弁行為」に接触するためできません
- 退職の意思を「伝えるだけ」なのでなので、違法性はありません
- 費用は3万円前後と低費用なところが多いです
以上が一般企業の退職代行サービスの特徴です。
わかりやすく言うと、
本人が病気になって会社に行けなくなった時に、親が本人の代わりに会社に連絡をして、「本人の退職の意思を伝える」
という行為と同じ意味合いのことです。
あくまでも、「本人の伝言を会社に伝えるだけ」ということなので、代理行為ではないという解釈です。
一般企業の退職代行サービスは、「低費用・退職の意思を伝えるだけ・代理交渉はできない」というのが特徴ですね。
「弁護士」の退職代行サービスの特徴
次に、「弁護士」の退職代行サービスの特徴についてです。
- 「会社に意思を伝える」のにプラスして、「未払い賃金の請求」等の代理行為ができます
- 万が一会社が反撃してきた時の対応ができます
- 弁護士が代理人ということで、信用度が高いです
- 費用も5万円以上、時には10万円以上と一般企業の退職代行サービスに比べて高額になることが多いです
以上が弁護士の退職代行サービスの特徴です。
弁護士の退職代行サービスは、「高費用だけど、未払い賃金・退職金の代理請求の代理交渉などもできる」というのが特徴です。
「労働組合法人」の退職代行サービスの特徴
最後に、「労働組合法人」の退職代行サービスの特徴についてです。
- 弁護士同様「未払い賃金の請求」等の代理・交渉ができることが法律で定められています
- 法律に基づいて労働組合が退職代行サービスを行っているので、安心・確実に退職できます
- 会社側はちゃんと対応しないと法律違反になる可能性があるので対応せざるを得ません
- 費用は一般の退職代行サービスと同様で低費用です
以上が労働組合法人の退職代行サービスの特徴です。
内容は「弁護士」の退職代行サービスと同等で、かつ、費用は「一般企業」の退職代行サービスと同等で3万円前後という、「弁護士」と「一般企業」の退職代行サービスの良いとこ取りなのが特徴です。
「一般企業」の退職代行サービスの違法性について
一般企業の退職代行サービスが代理交渉できないのは分かりました。
では、
- もし「一般企業」の退職代行サービスが代理行為・代理交渉を行うとどうなるの?
こう疑問に思う方もいるかもしれません。
一般企業の退職代行サービスが代理交渉を行えない理由
一般企業の退職代行サービスが代理で会社側に未払い賃金の請求や退職金について交渉を行う場合は、「非弁行為」にあたり違法の可能性が高いといえます。
非弁行為について分からない方も多いと思いますので、わかりやすく解説します。わかる方はこの部分は飛ばしてください。
「非弁行為」は弁護士しか行えない行為のことです
弁護士法により、報酬を目当てとして「法律事務」を行って良いのは弁護士のみとされています。
非弁行為を行うと,「弁護士法に違反した」として,刑事罰が科されることもあります。
非弁行為についての根拠法は「弁護士法 第72条・第73条・第77条4項」です
非弁行為についての根拠法について分かりやすく解説します。
非弁行為の根拠法は以下の3つです。
- 弁護士法 第72条「非弁行為」
- 〃 第73条「業としての権利の譲渡の禁止」
- 〃 第77条「非弁行為の罰則」
弁護士法 第72条「非弁行為」
弁護士又は弁護士法人でない者は,報酬を得る目的で訴訟事件,非訟事件及び審査請求,再調査の請求,再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定,代理,仲裁若しくは和解その他の法律事務を取扱い,又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし,この法律又は他の法律に定めがある場合は,この限りでない。
(譲り受けた権利の実行を業とすることの禁止):「弁護士法-法廷検索-電子政府の総合窓口-イーガブより引用」
「弁護士でない者は、報酬を得る目的で法律事務(代理・仲裁・和解等)をすることを業とすることができない」ということです。
弁護士法 第73条「業としての権利の譲渡の禁止」
「何人も、他人の権利を譲り受けて、訴訟、調停、和解その他の手段によって、その権利の実行をすることを業とすることができない。」
(非弁護士の虚偽標示等の禁止):「弁護士法-法廷検索-電子政府の総合窓口-イーガブより引用」
この条文についてはそんなに難しくありませんので、そのままの条文の理解で大丈夫です。
弁護士法 第77条「非弁行為の罰則」
次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。一 第二十七条(第三十条の二十一において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
二 第二十八条(第三十条の二十一において準用する場合を含む。)の規定に違反した者三 第七十二条の規定に違反した者四 第七十三条の規定に違反した者(虚偽標示等の罪)第七十七条の二 第七十四条の規定に違反した者は、百万円以下の罰金に処する。
第七十七条の三 第三十条の二十八第六項(第四十三条第三項において準用する場合を含む。)において準用する会社法第九百五十五条第一項の規定に違反して、同項に規定する調査記録簿等に同項に規定する電子公告調査に関し法務省令で定めるものを記載せず、若しくは記録せず、若しくは虚偽の記載若しくは記録をし、又は当該調査記録簿等を保存しなかつた者は、三十万円以下の罰金に処する。
(両罰規定):「弁護士法-法廷検索-電子政府の総合窓口-イーガブより引用」
弁護士法違反は,2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられます。
覚えておきたい退職代行を利用する際の就業規則についての知識
就業規則とは
就業規則(しゅうぎょうきそく)とは、企業において使用者が労働基準法等に基づき、当該企業における労働条件等に関する具体的細目について定めた規則集のことをいう。
労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならず(労働基準法第2条)、就業規則は労働基準法第9章や労働契約法等の法令によってその作成手続、実体、効力等を規制される。
:ウィキペディア参照
就業規則はウィキペディアで上記のように説明されています。
常時10人以上の社員を雇用する会社は就業規則を作成し、労働基準監督署への届出と社員への周知を行うことが労働基準法によって義務付けられています。
また、就業規則の内容には、
- 労働時間や賃金などの「必ず記載しなければならない事項」
- 退職金や賞与の規定など、「会社の裁量で盛り込むことができる事項」
の2種類があります。
就業規則は、会社と労働者の間の取決めとしての、労働条件等の規則集ということです。
就業規則に書いてある「退職手続き」の記述について
就業規則に「退職の申し出は2カ月前までにすること」等と会社は自由に規定することができます。
会社側としては、
- 次の人への引継ぎ
- 人員補充
があるので、2カ月前には知らせてもらいたいということなのでしょう。
就業規則の位置づけ
就業規則で「2カ月前までに退職の申し出をするように」と記載してあっても、それを労働者に「強制できる」ものではありません。
「就業規則に2カ月前までに退職の申し出」となっているから、「それ以外は退職させないよ!それ以外は退職は認めないからね!」
と会社側が言ったとしても、労働者には権利として「退職する自由」があるので、逆に会社側が労働基準法違反に問われる可能性があります。
就業規則の内容を労働者に強制できるというわけではないということです。
退職を会社側が認めなかったり(強制労働)する場合は、労働基準法違反の可能性があります。
「退職時の法律」と「働く人の職業選択の自由」について解説
では次に、「退職時の法律」と「働く人の職業選択の自由」について解説していきます。
「退職時の法律」について
退職について、法律ではどのように規定されているのでしょうか?
法律的には2週間前までに退職を申し出ればよい
退職したい労働者は、民法627条1項を根拠に、「退職は2週間前までに申し出すればよい」とされています(雇用期間の定めがない労働者の場合)。
この民法627条1項についてくわしく解説していきます。
民法第627条第1項「退職の申し出」がポイント!
期間の定めのない雇用の場合、労働者はいつでも退職を申し出ることができます。
また、退職の申出をした日から起算して原則として14日を経過したときは、会社の承認がなくても、民法(明治29年法律第89号)の規定により退職となります(民法第627条第1項)。
「期間の定めのない雇用の場合、労働者はいつでも退職を申し出ることができ、会社の承認なしで14日経過後に退職となる」と法律で定められているのです!
会社側が退職させてくれない時に対抗する法律ですね!
では、「期間の定めのある雇用」の場合はどうなの?退職できないの?
条文からすると対象外で退職できない
条文が、「期間の定めのない雇用の場合」となっているので、「期間の定めのある雇用の場合」はこの対象外となるので、病気などのやむを得ない理由がある場合でなければ期間中での解約はできないとされています。
しかし、現実的には「期間の定めのある雇用の場合」も退職の対応となる
現実的には、「期間の定めのある雇用の場合」も退職の対応となっています。
その理由としては下記の3つです。
- 理由1:本人が「絶対に何が何でも辞める!」と退職の意思が固い場合は、強制的に働かせることは事実上不可能だから。
- 理由2:本人が「もうあの会社では二度と働きたくない!」と労働意欲をなくしている場合は、強制的に働かせることは事実上不可能だから。
- 理由3:「退職は義務違反だ!」と言ったところで、労働者には「退職の自由」があるので、退職を阻止することは事実上不可能だから。
また、このことによって会社側から個人に損害賠償請求があったとしても、実際に、「どれだけの損害がどのくらいあったか」ということを証明することは難しいでしょう。
よって、最終的には、
- 引継ぎが完了次第、会社側が退職を受け入れる
という流れになるでしょう。
「期間の定めのある雇用」の場合は、期間が終わるまでは勝手に退職ができないことになっているが、「実際は嫌がる労働者を会社が強制労働させることはできないので、退職の対応となる」というところがポイントですね!
働く人には、「職業選択の自由」「退職の自由」が保障されています
「職業選択の自由」について
日本国憲法
第22条第1項 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
職業選択の自由については、日本国憲法で上記のように規定されています。
会社側に身分・性別・生まれ等によって差別され、強制されて働くのではなく、自分で職業を自由に選択して働くことができるということが規定されているのです。
「退職の自由」について
「働くこと」「辞めること」は、労働者の自由です。
また、労働者からの退職の申し出は、原則として自由です。
理由は下記の2つです。
- 理由1:日本国憲法18条で「奴隷的拘束」は禁じられているから
- 理由2:日本国憲法22条で「職業選択の自由」が認められているから
働きたくない会社でいつまでも働かなければならないということはありません。
会社側が「労働者を辞めさせない。強制的に働かせる」ということは、やってはいけないことです。
質問:就業規則では「2カ月前までに退職の意思」と。だけどすぐに退職できるの?
就業規則で「2カ月前までに退職の意思表示をする」となってます。それでもすぐに辞めれますか?
結論から言うと、退職できます。
ただし、自由に辞められるのは、退職を申し入れてから2週間後と法律ではなっています。
「それでは、やっぱり即日退職は無理なの?」
と思われるかもしれません。いいえ、大丈夫です。そんなことはありません。
即日退職の方法は、「有休休暇が残っている場合」と「有休休暇が残っていない場合」の2つがあります。
有給休暇が残っている場合の即日退職の方法
有給休暇が残っている場合は、退職の申し出をする際に、有給休暇の消化の申し出も併せて行います。
有給休暇は一定期間勤続した労働者に与えられた正当な権利です。
会社側はやむを得ない事情があった場合は有休の取得時期を変更することができますが、2週間後に退職するのに、時期を2週間以降に変更することは不可能です。
会社は申請通り有休を認めなくてはいけないということです。
退職の申し出→2週間有給休暇を取得→退職の申し出から会社に出社することなく、実質「即日退職」できる。
有給休暇がない場合の即日退職の方法
有給休暇がない場合は、退職の申し出の日以降を欠勤扱いとしてもらうことで、退職申し出日以降は会社に行くことなく、実質「即日退職」できます。
また、このような会社との交渉については、自分一人で対応することは難しいので、弁護士又は労働組合の退職代行サービスに依頼することをおすすめします。
法律的には2週間後に辞めれるので、それまで有休or欠勤扱いとすれば、実質その日から「即日会社に行かなくてよい」ということですね!
まとめ
- 退職代行サービスには、「一般企業・弁護士・労働組合法人」の行う退職代行サービスの3種類がある。
- 「一般企業」の退職代行サービスは低費用だが、代理交渉はできない。
- 「弁護士」の退職代行サービスは未払い賃金・退職金の代理交渉ができるが、高費用。
- 「労働組合法人」の退職代行サービスは、代理交渉もできて低費用と両者の良いとこ取り。
- 就業規則で2カ月前までに退職の申し出となっていても、法律的には2週間で問題ない。
- 労働者には職業選択の自由があり、働く権利・辞める権利がある。
- 会社側の引き止めが本来おかしい。
ということです。
退職時に会社側の不当請求等、一方的な言いなりにならないためにも、退職時の法律と権利について確認しておいて損はないですね!
みなさん、この内容はどの業種でも共通する事項ですので、ぜひ覚えておきましょう。
- 法律は、ブラック企業・パワハラ上司から働く人を守ってくれるものですので、最低限この記事の内容だけでも覚えておきたいですね!とても大切です!
- 退職代行サービスは沢山ありますが、内容面・費用面を考えると、「労働組合の運営する退職代行サービス」が「①確実な退職・②会社と交渉可能・③低費用」なので、一番良いと思います!